暦学班によりフーリカ暦が確定しました
以前より研究が進められていたエールフレットでの標準暦である「フーリカ暦」が黒江ガヴラス翠零氏を筆頭とした暦学班有志と、所長田上彩夏氏との共同研究チームによって確定されました。
フーリカ暦の詳細
フーリカ暦はアトラ暦を前駆体としてシノド゠ヴァエル暦から誕生した、エールフレットにおける標準暦です。この暦の成立にはエールフレット神話などの神話的背景やスオリフィア教会などの宗教文化的な背景があります。フーリカ暦の一週間は光曜・水曜・風曜・月曜・火曜・星曜・土曜・木曜の8日で構成されます。これはエールフレット神話で「神はエールフレットを8日で創り上げた」という記述からの物です。そして1月は通常年では4週間で揃えられており、通常年では全ての月で1月=32日となります。そして1年は12か月です。これも原初の神が十二芒星で表されるためです。制定年はフーリカ歴852年ですが、基準年はフーリカ歴836年です。フーリカ暦3320年1月5日はグレゴリオ暦の2020年1月1日に等しく、フーリカ暦1200年4月9日は主日(光曜)と始めから設定されていました。
今回研究チームはこの暦の運行の正確性と神秘性を追求し、次の閏年の美しいシステムに行き着きました。
- 8年毎に3回の閏週(8日)を2, 5, 8番目の年の6月に第5週として追加する。閏週が追加される年を天主の年(閏週年)と呼ぶ。
- 293年毎に特定の29年に閏日(1日)を追加。具体的には(8n+5)番目(n≠2; n≠5m, m>0)の年の12月の最後に「天曜」と呼ばれる1日を挿入され、閏日が追加される年を愛の祝祭の年(閏日年)と呼ぶ。
- 2347年毎に、通常なら閏週を挿入する年(閏週年)の1つで閏週を省略する。これは1597番目付近の閏週年で行われる。閏週を省略する年を青雲の年と呼ぶ。
このように、厳密なシステムを考案しました。特に素数が多用されているのが特徴的で、エールフレットのトーリン文明では素数を神聖視する文化があります。また、閏週年と閏日年の両方である年を至聖なる年(特別閏年)と呼び、神聖さを更に加えました。
問題点と文化的位置づけ
この暦は長期的精密性と神秘性を追求するあまりに、実際の太陽年とのずれが大きくなってしまい、結果的に毎年同じ月でも季節がずれてしまうという問題が発生しました。しかしこれに対して研究チームは、寧ろ時間や季節のずれを楽しむ文化が存在しており、この暦は公的機関などによって用いられる厳密なものであって、地域や季節との一致を重視する場面では異なる暦が用いられる、と設定を加えました。また、フーリカ暦2066年を基準として16.71年毎に巡ってくる「大循環年」の概念を加え、神秘性の強調に繋げました。大循環年は太陽位置が元の位置(フーリカ歴2066年3月27日の位置)に戻る周期に基づく特別な年とされます。実際の計算では小数点以下を含めて計算しますが、表示には四捨五入して整数にして表します。そして歴史的位置づけとしてフーリカ歴2066年になって大循環年の概念が正式に導入されたとしました。
田上氏が暦変換システムを開発しました
フーリカ暦の決定に合わせて、この研究チームを指揮した当研究所所長の田上氏が、フーリカ暦とグレゴリウス暦の相互変換システムを開発しました。このツールではグレゴリウス暦の任意の日付をフーリカ暦の日付へ、あるいはフーリカ暦の任意の日付をグレゴリウス暦の日付へと、相互の変換が可能です。また、任意のフーリカ暦の年の性質を一覧表示し、前後の閏年や大循環年を示してくれる「年性質チェッカー」、さらにフーリカ暦の任意の日付とグレゴリウス暦の任意の日付が一致または近くづく年を調べる「日付一致検索ツール」も付属しています。このシステムの開発によって、エールフレットの歴史で未決定だった事項が決定することが期待されています。このツールは田上氏の個人ドメインに置かれています。
※2025年6月28日追記
研究チームによりフーリカ暦だけでなく、フーリカ暦と併せて用いられるエールフレット統一時間の詳細も決定していました。これは「ニムノー゠クレイト・システム」とも呼ばれ、それは次のようなものです。
- 最小単位はニムノー(玅、記号はn)であり、1 玅 は約 1.0416666670765817 秒
- 1 玅 の89倍の上位単位クレイト(分、記号はkle)と、1クレイトの20倍の上位単位スティーフィ(時、記号はsf)を用いる
- エールフレットの「南北の極線」からの距離によって変動する重力ポテンシャルを「sf倍率」という形で示し、スティーフィの上位単位ポイフィ(刻、記号はpfi)を表すのに用いられる
- エールフレットの一日の長さはポイフィの数(pfi数)に依存し、基準地点では8刻で、標準では9刻で一日となる
sf倍率とpfi数という可変する値を用いることでエールフレットでの時間流速の違いを表現しているようです。ではこれらはどのように変動し、どのように定まるのでしょうか?田上氏の説明によると次のように定められています。
- sf倍率\(X\)は、\(5.825 \leq X \leq 9.325\) の範囲で変動し、0.025毎に増減し、極点に近いほど増大する
- pfi数\(N\)は、sf倍率\(X\)と重力ベクトル位相\(\phi\)に応じて、\(N_0 = 8\) 及び \(X_0 = 5.825\) として、\(N(X,\phi) = \text{round}_{0.5} \left(N_0 \cdot \exp\left[-\phi\cdot\alpha\cdot\left(\frac{X-X_0}{X_0}\right)\right]\right),\quad (\phi \in \{-1,+1\})\).で定義される。ここで\(\alpha\)は変化率係数でここでは\(\alpha = 3.2\)、\(\phi = 0\)では常に\(N = N_0\)
重力ベクトル位相というものが肝心です。エールフレットは南北への移動では北か南へ同じだけ移動してもsf倍率は同様の値を取ります。これは重力ポテンシャルを表しています。つまり極点付近の方が重力ポテンシャルが高いということです。しかし、実際には時間の流速はことなっているのです。そこで田上氏が導入したのが「重力ベクトル位相」です。これは重力ベクトルがどの方向を向いているかを表しています。つまり、時間流速が0に収束するか、無限大に発散していくかを表すわけです。ここでは南側が負相、つまり\(\phi=-1\)であり、北側が正相、つまり\(\phi=+1\)です。これにより北の極点付近ではpfi数が小さくなり、南の極点ではpfi数が大きくなります。このエールフレットの時間流速の違いを体系的に示したものが「エールフレット統一時間」です。
2025年6月21日頃、田上氏はこのエールフレット統一時間と世界協定時間の相互変換ツールの開発に取り掛かりました。そして2025年6月28日に「エールフレット統一時間・地球協定時間相互変換システム」の開発に成功しました。これにより、時間の変換も可能となり、さらに日本時間とエールフレット時間などの日を跨ぐ日付・時間の変換も可能となりました。